第四紀=人類紀の地質問題

液状化対策としての「ドレーン工法」について ~能登半島地震の教訓~                                                                                                                                                                         

 

       2024年4月  代表 福永慈二


 2024年2月8日発表の国交省調べによると、今回の能登半島地震で液状化によって傾斜・損壊した建物はおよそ9500戸にのぼるとのことです。全損壊認定を受けた傾斜建築物の修復費用は1戸当たり平均で800万円であるといいます。地震前に液状化対策を施しておくことは非常に重要なことです。

 しかし、現在のところ、何処も液状化対策はほとんどなされないままになっているというのが現状です。われわれは液状化対策工法としての「ドレーン工法」をよく知っており、たまたま或る戸建て家屋の3・11東日本大震災の際の自然実験で示された「ドレ―ンによる水抜き効果」についてもよく承知しており、各方面にその設置を提案して来ました。だが「実績がない」という理由で、まったく相手にされませんでした。そのため、材料の「細萓ドレーン」(ヘチマ状の網で作られた水抜き用の管)の生産も限られ、その入手も思うに任せなくなっています。

 日本の建築業界には、他の業界もそうですが、いわゆる「実績主義」が根深くはびこっており、なかなか新しい画期的な工法や製品が普及しないのが現状です。しかし、とにかくやってみないことには効果があるかどうか、分からないのです。「実績主義」の壁を何としても乗り越える必要があります。

 特に我々が提案したいのは、各地の重要な文化財・歴史遺産建築物の液状化対策として「ドレーン工法」をぜひ試してみて欲しいということです。何もせずに放置するのではなく、「ドレーン工法」を含め、今なし得る様々な対策をやってみて、いろいろやる中で「最良の対策工法」を確立していったら良いのです。

 日本民族固有のかけがえのない宝物である古い歴史的建築物を守り抜いていくためには、各社・各専門家・各部門が、お互いに協力し合い、助け合い、最良の対策・工法を確立していくことが必要です。今こそ「共同・協力の精神」を発揮し、有効な液状化対策を確立し、日本国の貴重な宝物・歴史的遺産を守り抜いていきましょう!

 


【お知らせ】

 「天地人」欄には「科学者の言葉」を載せてきましたが、現在

「開拓者の物語」を載せています。困難な時代、激動する時

代を迎えつつある今、改めて過去の各分野で活躍した「開拓者」 

の生きざまから学ぶ必要を痛感します。


『コラムー天地人』の「開拓者物語」に、「北海道十勝野開拓の祖・依田勉三物語」を連載しています。ぜひご一読下さい。

また、2024年1月より、幕末維新の伊豆松崎が生んだ依田勉三の師である『土屋三余先生物語』を全文掲載しています。


 ●著作者

  北海道開拓史研究会(代表:福永慈二)

  松崎三聖人(土屋三余・依田佐二平・依田勉三)を顕彰する会

 ●発行者 

  三余塾 土屋直彦

  〒410ー3626  静岡県賀茂郡松崎町那賀73~1

  (『北海道十勝野開拓の祖・依田勉三物語』上・中・下巻の   

   購入希望者は三余塾・土屋さんへ。各巻1500円プラス送料

                   ✉ gbccq165@ybb.ne.jp



 

《殿上義久氏(東海大学海洋学部卒・音響地質学研究所)によって発表された『液状化P波原因説』》

◆『飽和砂の剪断に伴うP波の発見とP波による液状化の発見―液状化の本質的原因とは何か?~教育おもちゃエッキーによる定性実験とその考察(1)~』

◆『液状化地域と周辺部における大地震時の音と揺れに関する面接調査~地震計ではとらえきれない物事の探求~』


深所の土の正確な採取のために開発された小型の「地盤用サンプラー」

《矢嶋信幸氏の『揚げ船』論文紹介》

『天災を乗り切る《揚げ船》のしくみ~津波避難船計画~』



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